オレガノ・ケントビューティー
ピンク・・・白のレースは、幼い頃からのあこがれ。
特に、透き通った風のような布をまとうことは、あこがれだ。
幼い頃、そんな布にあこがれ、母におねだりをした。
少し歩いた所に、洋服を仕立ててくれる人がいた。
「袖が、透き通った洋服が欲しいんだ~・・・。同じ布で、パンタロンスーツを縫ってもらってよ~。」
毎日毎日、母にねだった。
母は・・・
「うん、今度ね。」
と、いつも嬉しそうに笑顔で答えた。
今日もおねだりをしてみる。
次の日も、次の日も・・・。
いつになったら透き通ったパンタロンスーツが着れるんだろう・・・。
待てど、暮らせど、いっこうに出来上がってくる気配がない。
そのうちに、そんなおおねだりも忘れてしまった。
今でも、透き通るものが好きだ。
ガラス玉・・・ 空き瓶・・・
葉脈の残った枯れ葉・・・
でも、やっぱり惹かれるのは、薄い薄い、羽衣・・・。
天女が天から舞い降りてきた時にまとっていたという、羽衣。
子供の頃、果たされなかった夢は、今でも、心の中に残っている。
ふと向こう側の景色を見た時、葉っぱが重なり偶然に出来た透明の風景・・・。
自分だけの感動を、どうにかして伝えたくなる。
まだまだ表現しきれない感動の風景を、これからもずっと探し続けるんだろうな。